─公開中の映画「おとうと」は、蒼井さん演じる小春と母(吟子=吉永小百合さん)、長年音信不通で破天荒な母の弟(鉄郎=笑福亭鶴瓶さん)の関係を中心に描いた家族の物語です。
蒼井 1年ちょっとぶりの映画だったので、映画作りがどういうものだったのか分からなくなっちゃったこともあり、新鮮でした。(試写を)見終わったときは、いつも通り自分の芝居に対することばかり考えて落ち込んでいましたね。
─国民的な映画監督の山田洋次さんのメガホンで、国民的女優の吉永さんとの共演。緊張しませんでしたか。
蒼井 緊張はあまりなかったですね。緊張してる場合じゃないっていうか。日常なんだけれどデフォルメされていたり、独特の(せりふの)言い回しがあったり。山田監督のお芝居は本当に難しい。先輩方のお芝居を見ながら勉強していました。
─祖母役の加藤治子さんと吉永さんとは本当の家族のように自然な雰囲気が出ていました。
蒼井 どうやってバランスが取れていたのか分からないんですけれど、3人でいると本当に話が絶えなかったですね。加藤さんも吉永さんもとっても優しくてユーモアのある方たちなので、いつも笑っていました。
─映画の終盤にはホスピスでのみとりのシーンがありました。
蒼井 幼なじみの家が病院だったので、小さいころから毎年夏休みにリハビリテーションの所に行って、ご高齢の方に遊んでいただきました。でもリハビリって治る、生きるっていう所に向かっているけれど、ホスピスは一番幸せな苦しくない最期を考えている場所。私もこの作品にかかわったことで考えるようになりました。家族の今だけじゃなく、将来の最期ということも考えてもらえたら。もしかしたら、この作品にはそういうメッセージもあるんじゃないでしょうか。
─吟子の鉄郎に対する愛情で包まれたような作品ですが、蒼井さんご自身の場合はいかがですか。
蒼井 私には年子の兄がいるのですが、本当に(劇中の姉弟と)ちょっと似ています。兄はずっと勉強して今年大学院を卒業して就職するんですけれど、自由奔放に生きている妹とちゃんと勉強してきた兄と。私が兄を心配しているよりも、よほど兄が私を心配してくれているだろうな、と。もし兄がこの作品を見たら鶴瓶さんに私の姿を重ねるかもしれませんね。
─福岡を離れて10年ほどたつそうですが、帰るたびに必ず訪れる場所などありますか。
蒼井 実家とラーメン屋さんですね。昔から通っている所なので、行くと落ち着きます。
蒼井優(あおい・ゆう)さんは1985年、福岡市生まれ。99年、ミュージカル「アニー」でデビュー。2001年に「リリイ・シュシュのすべて」で映画初出演。映画を中心に舞台やドラマで活躍し、若手実力派女優として注目を集めている。
=2010/01/31付 西日本新聞朝刊=