─映画「曲がれ!スプーン」には舞台で活躍する役者が多数出演。舞台俳優との共演はいつもと違う感じはありましたか。
長澤 ワンカットの演技が比較的長く、舞台のようにテンポのいい芝居ができた。撮影前によくリハーサルを兼ねてそれぞれの出身劇団のやり方でエチュード(即興芝居)をしたんです。「お誕生日エチュード」とか。作中で「細男」を演じる岩井秀人さんが劇団ハイバイでやってるエチュードで、誰か1人がお誕生日で、そのお誕生会に別の1人が無断で遅刻してきて…みたいな設定でやるんです。ドラマ収録でも合間の暇なときに役者が即興で演じて遊ぶことがあるんですが、何だこれがエチュードか今までもやってたじゃん、ってびっくりした。それがちゃんと芝居の勉強にもなることに今回気づかされました。
─長澤さんはテレビ番組の企画で超常現象や超能力者を探すアシスタントディレクター役。ご自身が欲しい超能力はありますか?
長澤 透視。だっていい福袋を買えるじゃないですか。大した超能力の使い道じゃないですけどこの映画のエスパー(超能力者)さんよりはよっぽどいい使い方だと思う。
─この映画のエスパーの超能力ってちまちましていて、ある意味、野球の松井秀喜やイチローの方がよっぽど超人のような気がします。
長澤 そういう意味ではイチローさんたちもエスパーって言っていいのかも。
─なるほど。そういう意味で長澤さんが一番エスパーだなと思うのは誰ですか。
長澤 誰だろう…あっ、大滝秀治さん。ドラマで共演させてもらったんですけど、ご高齢なのに「現役の俳優」って感じで。ドラマの打ち上げのときも大滝さんが話すとみんな話に集中してしまうし、話も面白くて笑ってしまう。存在感があって雰囲気で話に引き込むんです。魔法を使ってるみたいですよ。
─ロケは香川県で行われています。結構、町中を荷物を持って歩かされていましたね。
長澤 監督がリアルに見えることにこだわって荷物が本当に重いんです。肩に斜めがけしたバッグには資料を詰め込んで肩に食い込むんですね。ゴロゴロ転がしていく荷物にもカメラ機材一式を入れていて重かった。
─「世界の中心で、愛をさけぶ」も香川で撮影されていて結構香川とは縁がありますね。
長澤 セカチューが縁で香川の「かがやき大使」をやったこともあり、本広克行監督もご出身なので香川の人たちが温かく迎えてくれた。監督に讃岐うどんの店に午前中だけで4軒も連れ回されたことがあったんですが、店によって味も違っておいしかった。
─九州との縁はどうでしょう。
長澤 ある作品の撮影で博多弁に今挑戦しているんですが、語尾の使い分けが分からない。何でも語尾に「─と」って付ければいいわけじゃないし、標準語とのさじ加減が微妙で難しく感じた。でも、「─と」って語尾に付けるのはかわいいですね。
長澤まさみ(ながさわ・まさみ)さんは1987年生まれ、静岡県出身。2000年に「東宝シンデレラ」グランプリ受賞。03年に映画「ロボコン」で初主演し、脚光を浴びた。「曲がれ!スプーン」は 超常現象の存在を信じる女性と、その能力を隠しながら生きるエスパー(超能力者)たちが巻き起こす騒動を描いたコメディー。
=2009/11/29付 西日本新聞朝刊=