西日本新聞

95歳になって「いい映画だった」と… 俳優 小日向文世さん(55)

2010年11月01日 20:05
―公開中の主演映画「サイドウェイズ」はオール海外ロケ。初めての体験ですね。

小日向 ロケ地の米ロサンゼルスに入った直後に健康診断を受け、血圧が高いといわれました。かーっと興奮したのかもしれません。撮影に入ると目の前にはアメリカ人だらけ。英語が飛び交い、まるでハリウッド映画に出ているみたい。とても心地よい感じ、夢見てるような気持ちで撮影できました。

―日本での撮影との違いは?

小日向 優雅さ、ですね。何がすごいって、現場で(出張して料理を提供する)ケータリングのおにいさんが朝食にオムレツを作ってくれるんです。トッピング自由、デザートも飲み物も選択肢がたくさんあって。日本だとおにぎり2個なのに。荷台いっぱいにお菓子を積んだトラックも来て、豊かさに圧倒されました。もっとも現地スタッフによると、本場ハリウッドのケータリングはもっとすごいらしいですが…。

―「サイドウェイズ」は米アカデミー賞脚色賞に輝いた「サイドウェイ」(2004年・米国)のリメーク。意識しましたか?

小日向 アメリカ版はカリフォルニア・ワインの聖地、ナパ・バレーが舞台。そこに日本人が立つことで、生まれるおかしさが引き出されています。アメリカ版より面白い、と言える自信はあります。道雄(小日向)と大介(生瀬勝久)との凸凹コンビはユーモラスだし、おしゃれじゃない2人がカリフォルニアでワインを楽しむ設定も味わい深いし。鈴木京香さんと菊地凛子さんは対照的にとてもすてきだし。(アメリカ版にもある)道雄が絶望して叫びワインをがぶ飲みするシーンでは、「勝ったかな」と思える演技ができました。

―まさに中年の青春映画。

小日向 そうですね。中年になってもこんなにすてきな恋ができる。あきらめちゃいけない、と思わせる作品ですね。自分もまだまだ、いろんなことをやりたくなりました。

―例えばどんなことを?

小日向 これまでと違った、やったことのない役をやりたいですね。父に、志村喬さんみたいな60代、70代になってもしっかりした役者になれ、と言われてます。95歳まで生きるのが目標。80代でもバリバリ、おじいちゃんの役だったら小日向と言われるようにもなりたい。「サイドウェイズ」はいまわの際になって「いい作品だった」と思い起こせる映画になりそうな予感がします。

―登場人物はワインの品種に自分の人生を重ねます。小日向さんのタイプは?

小日向 (環境の影響を受けやすい品種の)ピノ派! 自分の主張を押し通すタイプじゃないですから。だけど芝居に関しては、環境に左右されないカベルネ派です。これからもっと、頑固なくらいに自分の個性を追求してゆきたいですね。

    ×      ×

 小日向文世(こひなた・ふみよ)さんは1954年生まれ、北海道出身。劇団「オンシアター自由劇場」で活躍後、ドラマや映画のバイプレーヤーとして注目を浴びる。主な出演作にテレビ「あしたの、喜多善男」など。「サイドウェイズ」は大人になり切れない中年男2人が、カリフォルニアで「人生の寄り道」の旅に出るストーリー。


=2009/11/01付 西日本新聞朝刊=

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