─首都高速でのカーバトルを描いた映画「湾岸ミッドナイト」で、主人公アキオ(中村優一)のライバル役で“ブラックバード”と呼ばれるポルシェ911を操る島達也を演じられています。原作は人気漫画ですね。
加藤 役が決まってから、原作を2回読みました。1回目はストーリーを、2回目は島達也に注目して。でも正直、原作からはどんなやつか読み取れなかった。表情も少ないですし。原作は原作だから、自分なりの達也を演じればいいのかな、と撮影に臨みました。
─劇中では寡黙で厳しい表情が印象的でしたが、加藤さんが思う、島達也とは。
加藤 誰よりも大人で、冷静。すべてを分かっているんですよね。表情を崩さないようにして、特に運転中は「目力」で演技しました。ただ表情が少ないので、同じになりがち。微妙な心情を表現するのは難しかったけれど、ある意味見せ場でもありましたね。
─時速150キロ、200キロで繰り広げられる激しいカーバトルは映像、音ともに迫力満点です。車にこだわった撮影は苦労が多かったのでは。
加藤 監督によると日本国内での撮影は法律上、とても難しい。走行シーンにはテストコースや工事中の高速道路を使っているんですが、大変な撮影だったと聞いてます。冬場の撮影で、車のトラブルも多かったそうです。僕らの芝居部分はスタジオで撮っていたので、出来上がりのカーシーンを見て「こんなにかっこよくなるんだ」と感動しましたね。
─原作を忠実に再現した改造車が次々登場しますが、車には詳しいですか。
加藤 最初ははてなマークばっかりでしたよ(笑)。「チューンアップが」とか「ギアが」とか。ただ、湾岸を走るそれぞれの人に事情があって、それが複雑に絡み合う人間ドラマには、誰でも十分入り込めると思います。アキオとの、友情とは違う、男にしか分からない「きずな」も見どころの一つです。
─普段、運転しますか。
加藤 普段は乗りますよ。普通の乗用車ですけど(笑)。車に詳しい方じゃないんですが、ポルシェは高級車のイメージがあってあこがれていました。今回、運転はしていませんが、撮影で乗れて感激しました。それからポルシェを見かけると気になって仕方なくて。「同じ型だ!」とかチェックしてしまう。
─今回は車の魅力に引かれていく役でしたが、今引かれているものはありますか。
加藤 役者も音楽も、つねに新しいものに引かれていきます。役者ではもっといろんな役をやってみたいという欲求は出てきますね。やったことのない役に挑戦してみたい。例えば、今回はほとんどしゃべらない役だったので、しゃべり倒す役とか。夢中になれる何かがある、という気持ちは達也に共感できた点です。
加藤和樹(かとう・かずき)さんは、1984年生まれ。愛知県出身。2003年にドラマデビューし、「仮面ライダーカブト」(06年)や「ホタルノヒカリ」(07年)に出演。06年にはCDデビューし、日本武道館でのライブも行った。映画「湾岸ミッドナイト」では中村優一さん、小林涼子さんなどと共演。
=2009/10/18付 西日本新聞朝刊=