―10日から公開の映画「引き出しの中のラブレター」でラジオパーソナリティーの真生(まい)を演じています。声の演技はどうでしたか?
常盤 好きな番組を録音して口調をまねしたり、せりふを書き起こしたりして。普段、表情を含めた演技に慣れているので、そんな技術も必要かなと思って。もともとラジオは好きなんですが、声だけで伝えることがこんなにも大変なんだと知りました。
―声の職業のわりに、気持ちを言葉にするのをためらってしまう女性だと感じました。
常盤 私も不思議だったんです。でも本職の方にお会いして尋ねると「最初のころはそうでしたよ」と言われて。真生も初めは、口では強気を言うこともあるけど、どこか足りていない感じ。でも自分の番組をやり始めて責任を持つようになって、だんだん自分で「こうしなきゃ」というのが出る。きっとどの仕事でも同じですよね。
―常盤さんは、真生さんとは違う性格?
常盤 違うと思いますねぇ。(思いは)伝えないと。それに自分で意見を持った方が、より楽しい。10だと思ったことが、人の意見と交わることで、30、40、100と完成形に近づいていく。
―ラジオの電波に乗せて、手紙にこめられた思いが人と人とを結んでいく物語です。
常盤 ほとんど手紙を書くことは無かったんですけど、映画を機に、すごく書くようになりました。旅先で絵はがきを「あの人にはこっちの絵かな」なんて選ぶのも楽しくて。ハッピーな気持ちだから相手にも伝わると思うし、今、自分の中でブームなんです。
―映画に合わせ、実際に手紙を募集するラジオ番組も8月から10月まで担当されました。
常盤 日に日に届く量が増えて、読み切れないくらい来たんです。東京にいる人はほとんど地方出身の人だと思うんですけど、なぜか「ありがとう」のひと言が言えなくて黙っちゃう人が多くて。だから「みんな、これだけ思いをためてたんだ」ってびっくりしました。私は小中高の7年間、関西に住んでいたんですけど、とにかく何でも声に出す。「ありがとう」「すいません」っていうのが条件反射的に言葉になるんです。それが身に付いたことは、ありがたいと思ってます。
―今年はほかにも大河ドラマ「天地人」、映画「20世紀少年」と、お忙しいですね。息抜きの時間はどう過ごされていますか。
常盤 ちょこちょこ旅行に行ってます。私、カフェマニアなんです。海外でも国内でも、その土地のカフェに行くことが必須。おっちゃんが新聞を読んでるような喫茶店が最高です。
―純喫茶ですか。
常盤 おしゃれなカフェだと、しゃんとしなきゃいけない感じでしょう。もともとレトロで昭和っぽいものが好きで。その土地の食文化も少し見えるし。考えごともできるし本はいっぱい読めるし。8時間居座ったことも。いつか各地のお気に入り喫茶の本、出したいんですよね…マニアックすぎるかな?
常盤貴子(ときわ・たかこ)さんは1972年、横浜市生まれ。93年にデビューし、ドラマ「愛していると言ってくれ」(95年)や「Beautiful Life」(2000年)、「天地人」(09年)のほか映画や舞台でも活躍。映画「引き出しの中のラブレター」では、八千草薫、仲代達矢、林遣都らと共演している。
=2009/10/04付 西日本新聞朝刊=