幾重にも塗り込められた色。それらの色は層の向こうに透けて見え、ある時は引っかき傷の端からのぞき、またある時は凹凸の間からにじみ出る。何かを見いだそうとする過程が、アクリル画として刻まれているようだ。
15歳のころ、車などの具象画から始め、30代を迎えてから抽象画へと移行した。きっかけは故・秋吉資夫氏の絵に触発されたことだったが、描き始めて「自分が意識した部分と、意図しない部分が画面に表れる。何か新しい発見があると、一気に筆も進む」と、その可能性にのめり込んだ。
「何を描く」という目的は定めない。「頭で考えると、生気のない絵になる。ゼロの状態から始めて描く。自分にとって、一番何かが伝わってくるものが絵画。これからも平面作品にこだわって描いていきたい」
3月7日まで、福岡市早良区石釜の「早良美術館るうゑ」=092(803)1681=で個展を開いている。
=2010/02/21付 西日本新聞朝刊=