生命がうごめいているかのような抽象的な絵画。同じ場所を写した2枚の航空写真がもとになっている。第2次世界大戦で空襲を受けた直後の日本の都市と、最近の写真だ。空爆でできた黒い穴は白で塗った。「空爆の痕跡がテーマ。再生して現在は人が住んでいることを白で表しました」
宮崎市出身。九州産業大学で絵画を学んだ。2002年に仕事で原爆投下直後の広島の写真を画像処理したことが、大きな転機となった。「2週間ほど写真を見続けたのでショックを受けました。同時に、これまで見てきた映像や写真はリアルに感じられなかったことにも気づきました」。この経験から爆発をアニメのように描いた。鮮やかな色彩とコンピューターで描いたような丁寧な筆致は現実感をぬぐい去るが、アニメという同時代の共通語を用いることで逆にリアリティーが増している。「私たちの世代が爆発を見たときのフラットな視線を描いています」
痕跡のシリーズは爆発シリーズを発展させた新シリーズ。2月6日まで福岡市中央区今泉のモマ・コンテンポラリーで開催されている個展では、痕跡シリーズの新作約10点を展示している。 (藤原)
=2010/01/17付 西日本新聞朝刊=