空き店舗のシャッター通り、さび付いた看板、開くことのないガラス窓。魚眼レンズで撮影したように焦点を結ぶ像の底で、街の片隅に取り残された繁栄の跡がぼわりと浮かぶ。西から差し込む夕日が、建物と建物の間に落とす影をより深いものにしている。おぼろげな残映として漂うのは、既に失われてしまった人々の息遣いだ。
九州産業大大学院に在学する。当初は夕焼けの風景など郷愁を誘うものを好んで描いていたが、「何を言いたくて絵を描くのか」と師に問われ、立ち止まった。何げない街の風景を見渡すと、一見荒涼とした路地にこそ、かつての人の温かさや笑顔が隠されているように感じた。「そう気付いてから、街の見え方が変わってきた。昔、そこに人がいたという重みを求めて街を描いている」と話す。
目に見えているものだけではなく、描き手が何を感じ、何を思うかも含めて描き込まなくてはならないと考える。「今の社会で、それは芸術の力だし、責任だとも思うのです」
19日まで、福岡市中央区舞鶴1丁目の「アートプロ ガラ」が開くセレクション展に8点を出品している。
=2009/12/06付 西日本新聞朝刊=