誰かがあなたをじっと見ている…。ホラー映画のキャッチコピーではないが、監視社会は現実のいたるところに広がっている。防犯や安全といった安心を手に入れるために、私たちは何かを失ってしまったのではないだろうか? 映像やカメラ、鏡などを使ったインスタレーション(空間構成)は、そんな現実を浮き彫りにしている。「機械にとらわれて人間が関与していない世の中になっているのではないでしょうか」
福岡県筑紫野市出身。広島市立大学でデザインを学んだ。在学中に街角のショーウインドーに映る自分の姿を見て、反転する鏡の世界と反転していない本来の姿に違和感を持った。「自分と他者との見る見られるという関係性がテーマです」。昨年開いた個展では、鏡の裏にカメラを仕込み、鑑賞者が気付かないうちに撮影された自分と対面する、という作品を発表した。
何の変哲もない空間のようだが、どこかで人を欺いている─。現代社会の病を増幅させた作品は、失ったものの大きさを気付かせる。18日から12月6日まで、福岡市中央区那の津の3号倉庫で個展を開く。
=2009/11/15付 西日本新聞朝刊=