風景画のようで、風景画ではない。ちょうど森を俯瞰(ふかん)したような構図だが、「森」を構成する木の一つ一つは幾何学模様のように連なり、迷路のような紋様を浮かび上がらせる。それはもはや有機的な生命体としての木ではなく、「木」という形をとどめるだけの無機物のようだ。「同じ色、同じ形の木を描いているつもりでも、連続させることで微妙な表情の揺れ、変化が出てくる。それが面白い」。完全な無機物ではないのだ。
絵は独学で、趣味の延長だった。だが2001年、初めてグループ展に参加し「自分の知らない人からも反応があるのに驚き」のめり込んだ。これまで個展9回、グループ展10回を数え、福岡市博多区須崎町のアートスペーステトラで、25日まで個展「森を見て木を見ない3」を開いている。
人物や動物なども描いた当初よりは、少しずつ抽象的な画風へと変化している。だが「自分の中では変わったつもりはない。つかみどころがないのが絵というもの」とかわす。「『好き』でも『嫌い』でもいい、遠慮は要らない。自由に決め付けて見てほしい」。静かな情熱を燃やす。
=2009/10/25付 西日本新聞朝刊=