桜田門外ノ変 幕末に国を思うこととは 歴史の意味、問い直す 水戸に本格セット、10月公開へ
2010年09月08日 20:38
1860年の旧暦3月3日、水戸藩の浪士らが、彦根藩主で江戸幕府の大老井伊直弼を江戸城桜田門外で襲撃し暗殺した。150年前の大事件だ。吉村昭の小説「桜田門外ノ変」を原作とする同題の映画(佐藤純弥監督、東映配給)の撮影が、10月の公開に向けて進められている。
原作と同様、映画も暗殺事件の現場指揮者、関鉄之介を主人公として描かれる。関を演じるのは大沢たかお、水戸藩主徳川斉昭に北大路欣也、井伊直弼に伊武雅刀。
昨年が水戸藩開藩400年だった茨城県水戸市の千波湖のほとり、東京ドーム1個分の広い敷地にオープンセットができていた。雪化粧をした桜田門や堀、彦根藩などの大名屋敷を、2億円強を投じて再現した。セットを訪れたとき、ちょうど襲撃の場面を撮影中だった。
襲撃の実行部隊は、水戸脱藩士17人と薩摩藩士1人の計18人。現場で1人が死亡、明治期まで生き延びた2人を除く15人のほとんどが事件後自刃したり死罪に処せられたりした。関も約2年間の逃亡の末に捕らえられ、処刑された。
映画は関を「歴史のヒーロー」として描いているのではない。関はなぜこの事件にかかわったのか、事件後の逃亡中に何を考え悩んだのかを見つめることで、この時代の意味を、ひいては現代の日本を考える手掛かりに-という制作趣旨だ。
映画「世界の中心で、愛をさけぶ」(2004年)やテレビドラマ「JIN-仁-」(09年)など多くの作品に主演している大沢。会見で「幕末には、歴史に残っている人だけでなく、いろんな人が国を思い未来を思って行動したということに共感を覚えます。この映画が、今を生きる人に勇気を与えることができれば」と語った。
この事件で敵対した水戸(茨城県)と彦根(滋賀県)は、明治維新100周年の1968年10月、長年のわだかまりを乗り越えて和解し親善都市を結んでいる。
撮影中のオープンセットのすぐ横、千波湖の湖面を白鳥が泳いでいた。友好の印に彦根市が水戸市に贈った白鳥という。
=2010/03/12付 西日本新聞夕刊=