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ニック(アネット・ベニング)は医者で、ジュールズ(ジュリアン・ムーア)は専業主婦。ふたりのあいだには子供がふたりいる。大学進学を間近にひかえた娘のジョニ(ミア・ワシコウスカ)と弟のレイザー(ジョシュ・ハッチャーソン)だ。ロサンゼルス郊外でなに不自由なく暮らしているこの家族、じつはすこしばかり普通じゃないところがある。それは両親がどちらとも女だということ。そう、ニックとジュールズはレズビアンのカップルなのだ。
弟が姉にある頼み事をする。それがきっかけで物語は動きだす。自分たちの母親に精子を提供した人物を法的に知る権利が、満18歳になったジョニにあたえられたのだ。ふたりは精子バンクに連絡し、自分たちの生物学上の父親とコンタクトを取ることに。いっそ地球の裏側にでもいてくれたらあきらめもつくのに、父親のポール(マーク・ラファロ)がまたわりと近所に住んでいたりするのだ。で、さくっと再会を果たし、ジョニは父親の気さくさに好感を持つのだが、ここから平穏無事だった家庭に波風が立ちはじめる。
感じの良いポールに家族のひとりひとりが惹(ひ)かれてゆくなか、ひとりニックだけが危機感を募らせてゆく。なんといっても自分たちの家族は普通とはちがうのだ。それがポールの出現によってみんながだんだん「普通」になってしまえば、それはとりもなおさず、いまの幸せな家族関係が瓦解(がかい)することを意味する。そんな折に、ジュールズとポールが深い仲になり…。
この映画はいったいなにを伝えたいのだろう? タイトルからすれば「親はなくとも子は育つ」的なこと? それとも、困難を乗り越えてこそ本当の家族になれるのだということ? はたまた、新しい家族のあり方? 手元の資料によれば錚々(そうそう)たる受賞歴だし、特異な状況設定で最後まで退屈せずに見られるのだが、俺はけっきょくこの作品のメッセージに確信が持てずじまいだった。まあ、「普通」のエンタメ作品として見てくれ。
▼「キッズ・オールライト」公式サイト
http://allright-movie.com/
=2011/06/26付 西日本新聞朝刊=