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ヒロインの悲しみは、見ているこちらまで青い色に染めてしまいそうなほど、深く冷たい。だが彼女が閉ざした心を開き、誰かに寄りかかることの大切さを取り戻したとき、心にしまいこんだ悲しみはゆっくりと溶け始める。これは、わが子を殺害した女性の愛と再生の物語だ。英国生まれで、フランス在住の名女優クリスティン・スコット・トーマスが、渾身の演技をみせ、見るものに感動をとどけてくれる。
15年の刑期を終えたジュリエットは、妹レアの家庭に身を寄せる。長く離れていた姉妹はぎこちない共同生活をはじめるが、ジュリエットは心を閉ざし、犯した罪や今の心境など、いっさい話そうとしない。それでも献身的な妹や、新しく出会った理解者と触れ合っていく中で、少しずつうちとけていく。ある日、妹とともに認知症の母を見舞ったジュリエットは、自分の存在を否定していた母が、すぐに自分を分かってくれたことで動揺を覚える。そしてついに、なぜ愛する我が子を手にかけたのか、その理由を明かす時が訪れるが…。
どんな理由があるにせよ、命を奪った罪と心の傷は決して消えることはない。それでも、どれほど孤独な人間でも、必ずまた光がさす方向へ歩きだすことができると映画は訴えている。監督のフィリップ・クローデルの本職は作家で、自身が刑務所で教員をしていたという。自らの経験を生かして作った、過去に罪を犯した人間の再生の物語には、静かだが確かな感動と説得力がある。
(映画ライター・渡まち子)
監督:フィリップ・クローデル
出演:クリスティン・スコット・トーマス、エルザ・ジルベルスタイン、セルジュ・アザナヴィシウス
配給:ロングライド
シネ・リーブル博多駅で2月27日公開
▽公式サイト
http://www.zutto-movie.jp/