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Vol.256「フィクサー」

写真
(C)2007 Clayton Productions, LLC
 訴訟大国アメリカの影の部分が、一般人の目に触れることがない法曹界の闇と重なり、大企業の腐敗を生む。久しぶりに登場した大人の犯罪サスペンスだ。主役を演じるのは、軽いコメディから本格的な社会派映画まで幅広くこなす人気俳優ジョージ・クルーニー。脇には、トム・ウィルキンソン、ティルダ・スウィントンなど、うるさ型の映画ファンの興味を引く渋い顔触れが揃った。

 ニューヨークの一流弁護士事務所に勤めるマイケル・クレイトンは、もめ事を陰で処理する便利屋のような仕事に嫌気がさしていた。彼は、同僚が大企業に対する訴訟に係わる大きな秘密を掴んだことから、図らずも事件に関わる事に。主人公が乗っている車が爆破される冒頭から、物語は4日前にさかのぼる。前半に訴訟や法律の専門用語が数多く登場し、事件の概要を説明する部分も兼ねるので複雑に感じるだろうが、命の危険にさらされた主人公が、今までの自分の人生を清算し、正義を追求する後半は緊迫感にあふれ、一気に引き込まれる。

 フィクサーとは“もみ消し屋”のこと。監督のトニー・ギルロイはこれが初監督だが脚本家としてのキャリアは長く「ボーン・アイデンティティー」シリーズの脚本家として知られている。緻密に練られた硬派な本格サスペンスは、近年のCGを駆使した派手な映画にはない、いぶし銀のような味わいがある。

(映画ライター・渡まち子)

2007年 アメリカ映画
監督:トニー・ギルロイ
出演:ジョージ・クルーニー、ティルダ・スウィントン、トム・ウィルキンソンほか
配給:ムービーアイ

天神東宝、ユナイテッド・シネマ キャナルシティ13などで4月12日公開

▽公式サイト
http://www.fixer-movie.com/

2008年03月29日19時41分

[PROFILE]
渡まち子(わたりまちこ)
映画ライター。西日本新聞の紙面で映画コラム「シネマの鍵貸します」を連載中。実は大の欧州サッカー好きでもある。
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