西日本新聞

動物ニュース

2011年10月28日掲載 鹿児島 / 哺乳類

イルカ初繁殖なるか! 4頭妊娠 11月から出産へ かごしま水族館

 ■無事願い授乳訓練
 
 鹿児島市本港新町の「いおワールドかごしま水族館」でハンドウイルカの雌5頭のうち4頭が妊娠、順調にいけば11月末からの8カ月間、出産ラッシュを迎える。同館では2008年以降、イルカが4回妊娠したが、いずれも出産直後に死に繁殖の成功例はない。同館は「今度こそ」の思いを込め、出産前から母イルカに授乳訓練を始めるなど、入念な準備で初の成功を期待している。

 
 毎週水曜日の定期健診。飼育員の笛であおむけになったイルカの腹部に獣医師の大塚美加さん(40)が超音波(エコー)を当て、胎児の大きさや心臓を調べる。活発に動く胎児の映像。大塚さんは「成育は順調。群れで暮らすイルカは1頭が出産に成功すれば他の雌も見て覚えるので成功率が上がる。うまく連鎖してほしい」と声を弾ませた。
 
 4頭は、11月末に出産予定のチーク(9歳、妊娠2回目)▽12年1月予定のナーガ(20歳、同1回目)▽同3月予定のミルキー(10歳、同2回目)▽同6月予定のテンテン(10歳、同3回目)。
 
 “夫”は同館唯一の雄ラスター(20歳)で、同じ雄で同時に4頭が妊娠するのも珍しいという。
 
 日本動物園水族館協会(東京)によると、水族館のハンドウイルカの生後1年までの生存率は約2割。かごしま水族館での過去の失敗の原因は、1回目は赤ちゃんが尾びれの異常で泳げず、2回目は早産、3回目は母イルカから授乳ができずに衰弱し、4回目は死産だった。「水族館のイルカは野生と異なり、群れの中で自然に出産や育児を学ぶことができない」と大塚さんは話す。
 
 同館は今回、無事に産まれたのに母イルカが子に合わせて泳げず授乳できなかった過去の苦い経験を踏まえ、母イルカの授乳訓練を開始。飼育員が赤ちゃんに見立てて動かす棒の先の玉に、尾びれ近くにある乳首をくっつけながら泳ぐ練習を繰り返し、既に4頭のうち2頭が習得したという。
 
 さらに1番手のチークの出産にはナーガなど、他の雌も“立ち会わせ”見て学ばせる予定。職員も他の水族館を訪れて成功例を学んでいる。
 
 同館の久保信隆・海獣展示係長(45)は「安心して出産、育児できる環境を整えたい。今度こそ成功させて、新しい命を多くの人に見てほしい」と願っている。
 
【写真】妊娠中のイルカの腹部にエコーを当てるかごしま水族館の大塚獣医師(手前)
 
=2011/10/28付 西日本新聞朝刊=