西日本新聞

動物ニュース

2009年11月22日掲載 大分 / 哺乳類

サル80歳 恋に生きる 高崎山の「ナベ」 地位を捨て別の群れに

091122saru.jpg 野生ニホンザルの餌付けで知られる大分市の高崎山自然動物園で、C群3位の老雄ザル「ナベ」が今月、B群に移った。雄ザルには群れを移る習性はあるが、「高齢で高位のサルの移籍は珍しい」(同園)。黙っていても餌にありつける安定した地位を捨てた理由は、シーズンを迎えた「恋愛」のためらしい。職員たちは新天地での恋の行方を優しく見守っている。

 
 ナベは推定27歳。人間なら80歳を超える。10月まで約9年間、現在、餌場に下りてくる二つの群れのうち、800匹を超えるC群の3位。映画「釣りバカ日誌19」にも出演した人気者だ。
 
 約490匹のB群に移った今、新参者のナベは餌場に近寄れない。C群の中心にいたころの面影はなく、他の雄に威嚇され、子ザルと小麦を奪い合う。
 
 それでもなぜ、群れを移ったのか。高崎山で約30年間ガイドをした松井猛さん(64)は「最後の力を振り絞って子孫を残すためだ」と指摘する。
 
 サルは11月から翌年3月まで恋愛期を迎えるが、群れに長くいる雄は雌に敬遠されるという。ナベもC群では度々、求愛を断られる姿が目撃されていた。一方、昨年の恋愛期には、C群で餌を取りながらB群にも出没。何匹かの雌との恋愛に成功していたという。
 
 中部学院大の竹ノ下祐二准教授(霊長類学)は「高齢で順位を保てなくなった可能性もあるが、C群の雌の関心を失ったことも移籍の原因だろう」と推測する。
 
 正式に本拠地を移った今年、ナベはもてるのか。同園の下村忠俊主任は「子ザルと餌を取り合う姿は寂しい。せめて恋が順調にいけば」と気遣っている。
 
=2009/11/22付 西日本新聞朝刊=